#author("2019-09-15T10:37:52+09:00","","") #include(header_asthma); *吸入ステロイド薬についての概要 [#ybbb1b67] 気管支喘息の本態は、慢性的な気道の炎症であるとされるようになってきました。その気道の炎症を管理することが、喘息の治療につながります。最も炎症を抑える効果高いお薬が、現在のところステロイド薬です。このステロイド薬を霧状にして気道に直接届くようにしたお薬が吸入ステロイド薬です。 *吸入ステロイド薬が勧められる理由 [#bf17cb60] ステロイド薬は長期的に内服を続けると、様々な副作用があります。気管支喘息は気道の病気です。吸入はこの気道にだけお薬を届ける薬剤です。また使用する量も内服などに比べると100分の1程度ですみます。そのため内分泌の異常や感染症などの全身的な副作用が、ほとんど起こりません。 以上のメリットを生かして、気管支喘息の治療に積極的に用いられるようになりました。現在では''喘息治療の主役''と言えるでしょう。 *吸入ステロイド薬の剤型 [#s8f47074] -吸入ステロイド薬には、「ドライパウダー([[DPI]])」「定量噴霧式吸入器([[pMDI]])」「吸入液」の3つの剤型があります。それぞれのメリットと欠点を以下の表にまとめました。 #ref(./isc-type.jpg,50%,吸入ステロイド薬の剤型) **ドライパウダー [#sf72f729] 「ドライ・パウダー・インヘラー:''D''ry ''P''owder ''I''nhaler」を略して「DPI」と記載する場合があります。[[DPI]]のページもごらん下さい。 :メリット|取り扱いが簡単、残量を把握しやすい :デメリット|乳幼児には無理、「5歳以上で」と使用できると書かれている場合がありますが、実際には疑問。10歳くらいから出ないと、キチンと吸えていない印象があります。 **定量噴霧式吸入器 [#fd4b6290] 「加圧式定量噴霧式吸入器(''p''ressurized ''M''etered ''D''ose ''I''nhaler)」のことです「[[pMDI]]」と記載する場合があります。[[pMDI]]のページもごらん下さい。 :メリット|幼児でも可能、吸入液に比べると続けやすい。 :デメリット|乳児には困難。残量の把握が難しい。吸入指導が必要。小児の場合はスペーサーの使用が推奨される。 **吸入液 [#q0149cb0] :メリット|乳児でも使用可能。 :デメリット|電動式ネブライザーが必要。長期間 毎日続けるのは困難かも。 *吸入ステロイド薬の使い方のコツ[#d613be00] ''● 毎日の励行'' 吸入ステロイド薬は、発作を止めるお薬ではありません。長期管理薬なので、無症状であっても吸入を続ける必要があります。おそらくは1日に1−2回の吸入を指示されていると思います。 時々、吸入する時間に関する質問をいただきます。吸入する時間は厳しく考える必要はありません。毎日欠かさず吸入する事が大切なお薬ですので、日常生活と関係づけて吸入する時間を決めるとよいでしょう。それは例えば、朝なら歯を磨く前に吸入をする、と決めておくとか、夜なら、お風呂上がりに吸入すると決めておく、などです。継続する事が最も大事ですから生活の中に組み込んでしまうのが一番よいことです。 ''● 吸入補助具の使用'' 吸入ステロイド薬は正しく吸入できないと効果が出ません。これが最大の課題です。お子さんの場合、[[pMDI]]の吸入薬では、吸入補助具(スペーサー)を併せて使います。これにより肺内到達率が高まり、また口腔内のカンジダを予防する効果もあります。[[pMDI]]の吸入ステロイド薬を処方されているお子さんは、ぜひ吸入補助具を使ってください。 ''● 吸入後のうがい'' 全身性の副作用はほとんど無い吸入ステロイド薬ですが、一つだけ注意することがあります。それは口腔内のカンジダの発生です。吸入ステロイド薬を直接口腔内に毎日噴霧し続けると、カンジダ(カビの一種)がはえる事が知られています。そのため吸入ステロイド薬を使う場合は、吸入後のうがいが勧められています。 吸入補助具を使って吸入するとカンジダの発生を予防することもできます。しかし、吸入補助具を使っていても、うがいはするようにしてください。 うがいでもできないお子さんは、吸入後に水分やお茶、ジュースを与えてください。口腔内に留まっているよりも、飲み込んでしまった方が安全とされています。吸入で使用されているステロイド薬は、胃酸でほとんど失効してしまいます。 ''● 寝てしまっても、、(私見)'' 夜は寝てしまうので、うがいができないから吸入しませんでした、とお話しを伺うことがあります。数回うがいをしなかったからといって、たちどころにカンジダができるわけではありません。重症度にもよりますが、寝てしまっても吸入ステロイド薬を励行してもらったほうが、お子さんのためになる場合が多いと思います。 お薬を慎重に使うことは大切ですが、そのあまりに喘息の管理そのものが不十分になってしまってはいけません。吸入ステロイド薬は、おそれず前向きな気持ちで使ってください。 *吸入ステロイド薬の代表的な製剤 [#eb1d6039] 以下に小児科で使用される代表的な吸入ステロイド薬を示しました。 |CENTER:~一般名|CENTER:~商品名|h |ブデソニド|パルミコート| |フルチカゾン|フルタイド| |ベクロメタゾン|キュバール| |シクレソニド|オルベスコ| |フルチカゾン+サロメテロール(注)|アドエア| (注) サロメテロールは、長時間作用性β2刺激薬(気管支拡張薬)です。 以下は、小児に現在は適応がない吸入ステロイド薬(+気管支拡張薬)です。 |CENTER:~一般名|CENTER:~商品名|h |モメタゾン|アズマネックス| |ブデソニド+ホルモテロール|シムビコート| *参照ページ [#h1ad7a25] 吸入ステロイド薬を理解する上で大切なページを示します。併せてお読み下さい。 >長期管理薬 [[pMDI]] [[DPI]] 吸入薬 吸入ステロイド薬の薬物動態特性 [[ICS]] リンデロン *&color(#7B3530){★ アンケートにご協力をお願いします。}; [#idea0f3b] このページはあなたの問題解決に役立ちましたか? #vote(はい[392],いいえ[13]) #include(footer_asthma); #counter